冬の朝、週末の声。
1999'12/25・26 in K.Art Market


去る、1999年12月 いわゆる1000年期の終末に
ブルーマヨネーズは、ある試みを持った朗読会を行ないました。

来場者には、あらかじめクリスマスカード風の入場券が送られ、
それに ひとつ言葉を記してきてもらう形をとりました。

     会場風景  


カードを靴下に入れて、ブルーマヨネーズが交互に出します。
その出てきた言葉から即興詩の朗読を声にしました。

勿論、何が記されているかは、わかりませんが、
お客さんが、その言葉を記した想いと、
ブルマヨがその言葉から声にした想いの相違が
12月の夜という共通した想いを、逆に感じさせたのではないかと思っています。


言葉たち

言葉「ゆっくり泳いで」


     小さなスイマー      村田 仁


 上から下へ 滑り落ちる
 15個のドットだけで描かれたスイマー
 上から下へ 滑り落ちる。
 
 滑り落ちるのは最期の100円玉
 ワンコインを滑り落とす。
 小さなスイマー
 僕の手元の熱にあわせて
 上から下へと 滑り落ちる

 あのコが置いていった鞄に
 スイミングスクールの免許証があり、
 僕は水泳なんて 必要かい?って聞いたんだ。

 小さなスイマー
 上から下へ 滑り落ち、
 あのコは。

 ブイを投げろ。
 遠くの島に行くことなんて出来ない。
 沈没した船を眺めることなんて出来ない。
 音楽家なんて誰ひとりもしないで、
 ヴァイオリンなんて捨てていくさ。

 スイマー それはひとつのフィクションなんだ。
 ここは、ひとつのフィクション。
 スイミングスクールも、ひとつのフィクション。
 だから100円玉が減るだけで、
 君のスイマーは終わらない。

 小さなスイマー
 電気代が足りなくて
 バグインフレーションをおこしてきたよ。
 小さなスイマー
 ・‥ゆっくり泳いで。


    声



言葉「一本の樹」


浮着        小松亮一
僕は朝、ベッドから目を覚ました 
僕はいったいどこへ行こうとするのか
廊下に出て、階段を降りて、そして玄関を出た
外はアスファルトが、どこまでも続いています。
僕はアスファルトに寝そべって
空ではなく、アスファルトの続いている方向を見ました
それは僕が見える限りでは、曲がっておらずまっすぐでした
僕は一生、アスファルトと垂直にしかなれない
僕はこれ以上、枝分かれすることもできない
どうして樹は上に昇らなければならないのか
右にも、左にも、伸びてもいい
白い線の外側には出ないで下さい、と誰かが言いました
しかし、僕は白い線の外側を歩いている
それは車に向かって言われた言葉だった
おそらく、どれほど枝分かれしたとしても
僕は根元で一本だろう
僕は一生アスファルトに根を持つことはできないだろう
二つはその狭間で、一生、一つになれない



当日、言葉から声にした詩を 掲載。